60歳からの電子工作ノート

生涯学習として取り組んでいます。

RL78/G16 CPUボートの試作(ステッピングモータを利用した缶ビールサーバー)

ステッピングモータを使い、缶ビールサーバーを製作しました。

資料1*1、資料2*2、資料3*3、資料4*4、資料5*5、資料6*6、資料7*7

概要

 ステッピングモータで缶(500ml)を傾ける装置です。CPUボード上のタッチスイッチにより時計回り、反時計回りに回転します。

図1. 外観図

図2. 部品表

ステッピングモータ

ステッピングモータの選択には、資料2の「定電流ドライブICで使用するモーターの選び方」を参考にしました。またPololu社の資料3、資料4、資料5 も有用です。

ステッピングモータに流す最大電流

 試作したステッピングモータドライバボードでは、ステッピングモータのコイルに流す最大電流を 0.6[A]としています。最大電流は、ドライバIC端子のAVREF,BVREFにかかる電圧(V_REF)と、電流検出用抵抗値により定まります。

資料1 の「8.3.2 Current Regulation」より、

I_{CHOP} = \dfrac{V_{REF}}{5 \times R_{ISENSE}}

本ドライバボードの電流検出用抵抗は 0.1[Ω](100[mΩ])です。モータのコイルに流す最大電流を 0.6[A]とする場合、0.6 A = \dfrac{V_{REF}}{5 \times 0.1 Ω} 、 V_REF = 0.3[V]

分圧抵抗(上)を 10[KΩ], 分圧抵抗(下)を 1[KΩ]としています。

(注 実験の結果、モータに流す電流が足らないようなので、分圧抵抗(上)を 2.4KΩ], 分圧抵抗(下)を 330[Ω]に変更する予定です。V_REF =0.4[V]、Ichop=0.8[A]となります。)

図3. ドライバIC 最大電流を決める抵抗
その他 

 マイクロステップ 1/32 固定です。

 Fast decay固定です。

ホルダー

 缶のホルダーは3D プリンタの出力です。DesignSpark Mechanical (EXPLORER)を使用しました。使い方は「資料6」、「資料7」を参考にしました。3DプリントはJLCPCBへ依頼しました。製造費用=730円、送料=2260円、合計=3000円でした。

日にあたると変色するので、UVカットスプレーをかけました。

図4 ホルダーの素材 (JLCPCB)

図5. ホルダー上部の寸法

図6. ホルダー下部の寸法

図7. ホルダー上部

図8. ホルダー下部


ホルダー用アーム

 アルミの加工物です。RootPro CAD Freeで作図しました。個人でも受け入れてくれる業者へアルミ加工を依頼しました。材料、加工、送料込みで4200円でした。

図9. ホルダー用アーム

ホルダーの組み立て

モータシャフト用ハブとアームを、六角穴付ボルト(M3 長さ=10[mm])を使用して取り付けます。

図10. モータシャフト用ハブとアームの取り付け

M5用のネジ穴をホルダー(上、下)に加工します。ホルダーとアームを六角穴付ボルト(M5 長さ=10[mm])を使用して取り付けます。上部のホルダーは取り外しを容易にするため、蝶ネジで止めます。

図11. ホルダーとアームの取り付け

ステッピングモータのモータシャフトとハブは、「5mmモーターシャフト用ハブ」付属のイモネジを使用します。ネジ山をつぶさないように、ゆっくり回します。

実験

 ビールの缶(500ml)を使用しました。中身は水です。

中身が100%満たされている状態であれば、うまくいきました。

中身が70%ぐらいから開始すると、注げずに元の位置に戻ってしまいました。

図12. 中身が100%の状態から開始

図13.中身が70%の状態から開始

中身が100%の場合、缶の両側が同程度の重さなのでバランスがとれ、ステッピングモータの静止トルクも小さく済みました。中身が70%ぐらいから開始すると、バランスがとれず大きな静止トルクが必要となりました。

使用したドライバICの推奨 Vrefは 1~3.5[V]となっていました。(資料 1 「7.3Recommended Operating Conditions」)  本実験のVref=0.3[V]は、適切でない使い方のようです。

YouTubeの場所:

中身100%から開始: https://www.youtube.com/watch?v=QK1jZGZopJc

中身70%から開始: https://www.youtube.com/watch?v=VmFlXzwa9I8

*1:資料1「DRV8825 データシート」https://www.ti.com/product/ja-jp/DRV8825

*2:資料2「ステッピングモータードライブICの使い方」(日本パルスモーター株式会社)https://www.pulsemotor.com/feature/steppingmotordrive.html

*3:資料3 Pololu 「DRV8825 Stepper Motor Driver Carrier, High Current」 
https://www.pololu.com/product/2133

*4:資料4 Pololu 「DRV8825 Stepper Motor Driver Carrier, High Current」のFAQ 
https://www.pololu.com/product/2133/faq

*5:資料5 Youtube動画 Pololu 「Setting the Current Limit on Pololu Stepper Motor Driver Carriers」 https://www.youtube.com/watch?v=89BHS9hfSUk

*6:資料6「DesignSpark Mechanical 使いこなし大全」

*7:資料7「基礎から学ぶ機械製図」 3Dプリンタを扱うための3D CAD製図法 (SBクリエイティブ)